大使館員オススメの本
当時はよくスタッフ同士で本の貸し借りがあった。皆興味のある分野は同じなので、読後の話も盛り上がる。特に面白かったもを2冊紹介します。
●妻は密入国者 諸星浩二https://amzn.asia/d/5WkzLdF
不法入国で来日した中国人妻との馴れ初めから結婚、ビザ取得までの実体験をまとめた一冊。
不法入国の申請者と触れ合うことはほぼ毎日だったが、相手の日本人はどういう人なのか常々気になっていた。領事部では知り得ない入管での手続きの詳細も分かり、勉強になった。
個人的には著者が領事部に来た時の描写がカオスで苦笑いしてしまった。毎日そこにいるんだけどなぁ笑
●無国籍 (新潮文庫) 陳 天璽https://amzn.asia/d/9flMt0F
中華民国人、つまり台湾人として日本に生まれたものの、日中国交正常化に伴い無国籍となってしまった著者の半生を描いた自伝。
大使館で働くまで、私の無国籍の知識はトム・ハンクスの「ターミナル」とフジコ・ヘミングのみ。たぶん日本じゃ数人だろくらいのアホ認識でいた。
ところがどっこい。領事部で無国籍の人を見ない日はなかった。政治的、歴史的背景によって無国籍になってしまい、社会生活上も苦労している彼らの現状を目の当たりにした。そんな中、辛い思いをしながらも、攻めの姿勢を崩さない著者の生き様には感銘を受けた。
なんというか、バイタリティの質が日本人とは根本的に違うなぁと。逞しさに圧巻。
そして無国籍というマイノリティの認知がもっと広まり、生きやすい社会になればいいな、と改めて思った一冊。
他にも面白い本あるので、またの機会に紹介します。